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HAMELIN POOL
ハメリンプールという入り江を訪れることは、
僕が子供のときからの念願で今回の旅行の2大目的の一つでした(もう一つは「バンダ・クリフ」でした)。

この入り江の波打ち際には、「ストロマトライト」という岩のような姿の生きものが無数に生きています。

ストロマトライトは、微小なバクテリアの集合体なのですが
たいへん貴重なもので、
シャーク湾が世界遺産に登録されたのも地球上でこの入り江にしかないストロマトライトの大群生によるところが大きいそうです。
(西オーストラリア州の他の場所にもちょっと生息していますが、大群生はここだけです)

ついに積年の念願がかなって
ストロマトライトと対面しました。

僕はこの生きものと対面するために
南の大陸に来ました。

ストロマトライトはとても脆く、
ちょっと触っただけで成長が止まってしまうので
観光客はボードウオークを歩きます。

ストロマトライトと一緒に
記念写真を撮りたいなーと思って
人が来るのを待っていました。

1時間待ったら
ようやくドイツの夫婦が来たので
頼んで撮ってもらいました。
いったいこのバクテリアのかたまりが、なんでそんなにスゴイのかというと

彼らは、いまから35億年くらい前に
それまで酸素が無かった原始地球の大気に、光合成によって酸素をもたらした生物の子孫だといわれています。

地球が宇宙の片隅に誕生したのは、45億年前と言われています。
そして、西オーストラリア地方には、いまから35億年前のストロマトライトの化石が見つかっていて、
化石と、いま生きているストロマトライトの姿や構造は、まったくといっていいほど変わっていないそうです。

恐竜やアンモナイトは1〜2億年前ですし、三葉虫も古くて6億年前とかなので
35億年前から地球に変わらず生きているというのは、ものすごいことなのです。

ですからストロマトライトは、
僕たち人間を含めてこんにち地球上に生きている、あらゆる酸素を吸う生物の母であり、
地球の歴史をずっと見てきた生き証人ということになります。

僕は中学生のときにNHKの『地球大紀行』という、地球の歴史を紹介するシリーズ番組を欠かさず見ました。
このテレビ番組は、
僕を地球科学というものに夢中にさせ大学と大学院で自然地理学の、地形学という学問を専攻させる遠因となりました。
ストロマトライトを知ったのもこのテレビシリーズです。

僕は、このハメリンプールでまる一日過ごそうと、決めていました。
でも12月の南回帰線に真上から降り注ぐ強烈な日差しと、耐えがたい暑さで
このボードウオークの板の上に4時間すわっているのがやっとでした。

ストロマトライトのすき間には
たくさんの魚が泳いでいました。

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