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トルヒーヨ  TRUJILLO

これは、ペルー北部の町トルヒーヨ郊外にある『虹のワカ』という遺跡の写真です。
『ワカ』というのは、ピラミッドだとか神殿のようなものだそうです。

ペルーの古代遺跡というと、インカ帝国のマチュピチュが有名で
トルヒーヨの遺跡群のことなどまるで知らなかったし、とくに期待もしていませんでした。

しかし僕たちはここで、インカ帝国よりもずっと前の時代の壮大な遺跡の数々を目にして、ほんとうに感動しました。
僕としては、マチュピチュよりもこちらのほうが衝撃を受けました。
 

これが、僕たちが夜中に転がり込んだ
高級ホテル『リベルタドール』です。

エクアドルのクエンカから国境を越えてペルーのトルヒーヨまで来る間に僕たちは散々な目にあいました。
その話にちょっとおつきあいください。

クエンカのバスターミナルで、僕はいわゆる『液体強盗』に遭いました。
サチコネエサンがトイレに行って、僕が一人になっているところを狙ったようです。
背中に何かが当ったような気がしたのですが、気のせいかなと思っていたら
男の人が、『ミスター、ミスター、あなたの服が汚れている』と言ってきました。
背中を見たら、チョコレートドリンクをかけられてヒドイありさまでした。

男の人が、『拭いてあげるから荷物をよこせ。』としきりに言ってきます。
僕は、このテの犯行(観光客にわざと液体をかけ、
別の人間が親切を装って拭くフリをして荷物を奪う)については知っていたので、絶対に荷物を渡さず事なきを得ました。
何も取られなかったけど、服がチョコレートだらけになってすごく気分が沈みました。

バスに4時間ゆられて国境の町につきました。
エクアドルからペルーへ。生まれて初めての陸路での越境体験は本当に大変でした!!
国境は、旅行の中で最も注意が必要な場所の一つです。もちろん平和で安全な国境もたくさんありますが、
中には右も左も分からない旅行者から、いろいろと巻き上げてやろうと狙っている人たちがウヨウヨいる国境もあります。
僕たちはこうした体験が初めてだったので、ちょっとした洗礼を受けました(笑)。

それとは別に、国境を越えるときに両替して受け取ったお金が全部ニセ札だったことが、後になって分かります。
これもかなりショックでした〜。

ペルー側の国境の町トゥンベスに入りました。
そこは、南米初心者の僕たちには強烈なほど治安が悪そうで、
『こんな町には泊まれない!日が出ているうちにバスに乗って大きな町まで行こう!』ということになりました。

なんとかトルヒーヨ行きのバスに乗ることができ、安心したのも束の間。
バスが美しい夕暮れの海辺を走り始めて1時間後。
突然『ガシャーン!!!』という破裂音がして、僕たちの2列前の窓ガラスが大破しました。
反射的に身をかがめましたが、頭にガラスの破片が降り注いでくるのが分かりました!!

窓辺に座っていた男の人や、僕たちの前の席にいた子供は顔から血を流しています。
僕はとっさに、『強盗団の襲来だ!もうオシマイだ!』と思いました。
その場所は、ガイドブックに『この地域ではバスを狙った強盗事件が起っている』と書かれていた地域だったのです。

しかし幸いにも強盗団の襲来ではなく(なぜガラスが割れたのか今でも謎ですが)、
運転手さんが割れた窓を段ボールで補修して、再び走り始めました。
僕は内心、『これはとんでもない所へ来てしまったなあ…』と思いました。

さらに悪いことに、そのバスがトルヒーヨに着くのが夜中の3時だということでした。
『夜中の3時なんかにペルーの大都市の路上に放り出されるなんて、危険すぎる!』
と思ったものの、それが、その時にできた精一杯の選択だったのです。

バスの車掌の少年は
『バスを降りたら一刻も早くタクシーを捕まえてホテルに行け、ウロウロしてたら危ない』とか言っています。

バスが着いたのは、バスターミナルのようなところではなくて、暗〜い道端です。
そこには数台のタクシーが待っていたので、いち早く捕まえまして
『この町で一番高級なホテルに連れて行って下さい!』と言いました。
小さな安宿では、こんな時間に行っても誰も出てきてくれないだろうと思ったからです。

タクシーの運転手さんは、町の中心の『ホテル・リベルタドール』に連れて行ってくれました。
しかしホテルの門は閉まっています。
『ああ!閉まってる!』と絶望していると、運転手さんは『ドアをガンガン叩いてみろ』と言います。
僕は運転手さんに、『お願い!ホテルの人が出てくるまで、行かないで!』と言いながら、ドアを叩き続けました。

すると門の鍵が開く音がして、中から立派な服装のホテルマンが出てきました。
運転手さんにはだいぶチップをはずんで渡して『お陰さまで助かりました!』と言いました。

などという事が、たった一日で起こりました。
それにしても、バスの窓ガラスが割れた瞬間を、今でもスローモーションのように思い出します。
 

ホテル・リベルタドールは
1泊1万円ほど(2人分で)と高かったですが、
とても快適でした。

こんな豪華な朝ごはんにありつけるなんて
夢のようです!!
エアコンも効いてて涼しいし天国みたいでした。

とは言っても、そんな高いホテルに
泊まり続けるわけにもいかないので

次の日から、2人で一泊3千円ほどの中級ホテル
『コンチネンタル』に引越ししました。

トルヒーヨには5泊しました。

町の中心にあるアルマス広場。
夜になっても人々でいっぱいです。
ほんとうにきれいな広場でした。

広場に面した所にある鶏肉をだすレストランが
安くてすご〜〜く美味しくて、何度も通いましたよ。

落ち着いて体勢を立て直し、次の町・リマへのバスのキップも買ったので
郊外の遺跡めぐりツアーに参加しました。

『太陽の神殿』、『月の神殿』、『虹の神殿』、『チャンチャン遺跡』を巡る一日ツアーです。
名前がカッコいいので期待してしまいましたが、期待をはるかに上回る感動が待っていました。
 

これが『太陽の神殿』です。
『月の神殿』の上から撮りました。

ガイドブックによると、
これらの建造物を作ったモチェ文明は
B.C.500年〜A.D.800年頃栄えたそうです。

インカ帝国よりもはるか昔に
こんな高度文明があったということに
純粋にビックリしました。

『月の神殿』には
おびただしい壁画、装飾が施されています。

この顔はモチェ文明の神様なのだそうです。

『月の神殿』は内部が公開されています。

壁面の装飾が何段もの列になっているのは、
モチェ文明の社会階層を表しているのだと
ガイドさんが言っていました。

それにしても、
その規模の巨大さに圧倒されてしまいました!!
写っている人と比べるとその大きさがよく分かります。

これは世界遺産『チャンチャン遺跡』。

モチェ文明よりも後の時代に栄えた
チムー王国の都市遺跡です。
ガイドブックによると、
12世紀に興り、その後インカ帝国に征服されたそうです。

チャンチャン遺跡の広場にある壁。

遺跡には動物や鳥や魚の模様、
幾何学模様などがいたるところに刻まれています。
芸術的にもすごく高度な文明だったのだと思います。

トルヒーヨは、ペルーの中でも特に強烈に印象に残っています。

たとえばよく
ナスカの地上絵について、『遥か昔にこれほどのものを描く技術があったのだろうか?』などという言い方をします。
『宇宙人の仕業』とする説とかあります。
しかしペルーの沿岸部には、古代からたいへん高度な文明の礎があったわけです。
僕はそれを、ここへ来るまで全く知りませんでした。

ナスカの地上絵やマチュピチュのイメージがあまりにも強烈なので、
それらが歴史上に突然現れたようなイメージを勝手に持っていたのですけれど、
やはり歴史にも、花が咲くためにはそこにつながる根っこがあるんだなーと妙に納得してしまいました。
トルヒーヨに来てほんとうに良かったです。
 

遺跡めぐりツアーの最後は
夕陽の美しいワンチャコ海岸を訪れました。

ほんとに良い一日でした!

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