「星景歌集」ライナーノーツ |
夏の夜 |
ピアノとギターと歌だけというシンプルな編曲は、アクアマリンでは初めてのものです。
楽器編成だけでなく和音進行も、ルート音(和音の一番低い音・いわゆるベース音)が
ドレミファソラシド、ドレミファソラシド、と上昇を繰り返すだけという単純な作りになっていて、
作者的にはこれがけっこう気に入ってます。
タイトルもいろいろ考えましたが結局「夏の夜」というきわめてシンプルなものになりました。(ミマス) |
遠い世界 |
CDに収録されるのは初めてですが、ライブではかなり以前から演奏しており、
ライブアンケート等でリリースのリクエストが多かった曲です。
僕は音楽理論をちゃんと勉強していないので、転調などの技術は苦手なのですが、
この曲はすごくがんばってたくさん転調します。
しかしライブでピアノを弾くのがすごく難しくなってしまって、墓穴を掘った感があります。(ミマス) |
回想 |
前作アルバム「Songs Of COSMOS」は、「メジャー時代の楽曲を網羅!」というコンセプトだったのですが、
この曲だけが漏れてしまって、今回収録されました。
アクアマリンの楽曲としては非常に初期のものです。
まず最初に「COSMOS」ができ、
次に「回想」「星降る夜」「海の見える丘」などが最初のレパートリーとなりました。 |
金星〜Venus〜 |
金星は地球のひとつ内側の軌道をまわる惑星で、地球からもっとも明るく見える星です。
日本では宵の明星、明けの明星などと呼ばれ、西洋では「ビーナス」と言います。
この曲は、
古代の人々がなぜこの星を愛と美の女神の名で呼んだのか、という解釈の一つとして作りました。
僕が住んでいる茅ヶ崎という町からは、
夕焼けの中に箱根や富士山といった山々が遠くシルエットで浮かび上がります。
そのずっと上の方に輝く金星はほんとうに詩的で、情緒的な風景です。(ミマス) |
星屑を君に |
これもライブでたびたび演奏してきまして、リリースのリクエストが多かった曲です。
僕達にとって大切なのは、感受性と想像力です。
夜空にあふれる星たちの光を見ても、それをどう受け止めるかは人によってちがいます。
現実を理解するには空想が必要です。
僕達がいまここに生きているという現実を理解するためには、空想が必要です。(ミマス) |
家族写真 |
いまから13年前の1990年2月14日、
「彼」は太陽系のかなた、海王星よりももっと遠いところを旅していました。
地球を飛び立って以来、たくさんの素晴らしい写真を僕達に送ってくれましたが、
そろそろ交信が途絶え、永遠の別れの時が近づいていました。
彼の生みの親である天文学者は、最後に彼にこちらを振り返らせて、
この地球が、宇宙の果てからどんなふうに見えるのか、最後の写真を撮ってほしいと思ったそうです。
「そんなものは科学ではない」という猛烈な批判を押し切って撮影された写真には、
真っ暗な宇宙の闇に浮かぶ、まるでノイズのような微かな点。
それが僕達の地球の、家族写真でした。(ミマス) |
ゆるやかな時間 |
よく、太陽や電気の光によって、ふわふわと宙を漂う埃やチリが見える時があります。
その埃やチリを眺めたり、目で追ったりする時、時間の流れがゆっくりになった気がします。
何気ない生活の中で、お気に入りの場所で、
お気に入りの飲み物とお気に入りのアイテムで、過ごす時。
なぜか物思いにふけって優しい気持ちになったとき、気がつくと、
時間の流れがゆっくりになっていた気がします。(Sachiko) |
ボートに乗って |
メロディーと歌詞は、この曲を作ろうと思う前から、お風呂に入っている時なんかに、
なんとなく歌っていました。
そして、ライブの為に一曲作ろうかなあ〜っていう時に、
頭の中で流れていた和音をくっつけて、この曲がちゃんと完成しました。(Sachiko) |
さみだれぼし |
ちょうど梅雨の時期に、天頂で輝く金色の1等星があります。
西洋ではアークツルスと呼ばれる星で、僕がいちばん好きな星です。
野尻影抱という、星好きの間では有名な人がいます。
日本の農村や漁村などで語り継がれてきた星の名前の収集と研究に、情熱を傾けた人です。
この人がいなければ、僕たち日本人は自分たちの大切な文化を永遠に失うところでした。
その著書の中で、アークツルスが「さみだれ星」と呼ばれていたことを知り、1曲できましたー。(ミマス) |
アリゾナ・スカイ |
アメリカの大西部はほんとうにすごいところでした。
あまりにも、僕たち普通の(?)日本人が日常を過ごしている場所とは違う世界で、
違う星に来たと錯覚するほどです。
僕達はあまりにも余計な物に囲まれてしまっています。
大して必要でもないものを獲得するために命を削り、
本当に無くしてはいけないものを簡単に手放してしまいます。
砂漠の空は、必要なものとそうでないものの明確な区別を、ものすごい説得力で提示します。(ミマス) |
星の樹海 |
宇宙の時間のスケールに比べたら、10年も100年も大した違いはありません。
僕達はいくら歳を取ったとしても、この宇宙の秘密のひとかけらも理解できませんし、
子供よりも大人の方が賢いというわけでもありません。
いのちを大切にするということは、自分に幾らかの時間が与えられたということを、
ひたすらまっすぐ見つめるということだと思います。
それは何のためなのか、その時間を何に費やすのか。
それをよーく考えることができれば、たとえば目の前の分かれ道を、
どちらに進むのかということもカンタンに答えが出ると思います。(ミマス) |
ツインピークス(Solitude) |
このアルバムがリリースされる2003年は、
57000年ぶりという歴史的な「火星の大接近」が起こる年でした。
その記念に、火星の曲を作ろうと思いました。
火星についてのエピソードの中で、僕が最も惹かれたのは、ある女性の切ない物語です。
彼女はたった一人でその赤い惑星に降り立ちました。
僕たち人類の夢や希望、未来というものを一身に背負って。
しかしある日、母船が故障して、永久に連絡がとれなくなりました。いまでも彼女の消息は不明です。
彼女はいまでも、2つ並んだ丘の麓で、青く輝く地球を見上げているに違いありません。(ミマス) |
木星 |
これも以前から、皆様に「早くCDに入れろ!」というリクエストを頂いていた曲です。
とくに愛媛県のプラネタリウムの番組で、エンディング曲としてずっと上映されていましたので、
四国の方からのお問合せが本当に多かったです(ありがとうございました)。
ピアノと歌の一発勝負という感じなので、ライブでやるときは本当に緊張します。 |
長江 |
三峡と呼ばれる険しい大峡谷の風景は、素晴らしいものでした。
景色とともにすごく印象に残っているのは、船の汽笛です。
体じゅうがしびれるほどの、ものすごい大音響で「ボー」と鳴らすと、それが峡谷にこだまして、
10秒くらい残響がのこるのです。
峡谷の奥の奥のほうまで、こだまが水面を駆けてゆくようで、最初の歌詞が思い浮かびました。
冬の長江はいつも霞んでいて、どこから来て、どこへ行くのか、
果てしない時間のベールに隠しているようでした。
三国時代の史跡をいろいろ訪れたことも、詞に影響していると思います。(ミマス) |
ジャケット写真について |
いちめん青のグラデーションは、アリゾナの砂漠の空の写真です。
画像処理などはしていないので、
どんなに素晴らしい青空を僕達が見たのか、察していただけると思います。
大まかなデザインと、月や星の絵(記号?)はミマスが描き、Sachikoが波線を付け加えました。 |
歌詞カードについて |
歌詞を掲載するブックレットには、これまでの音楽活動を通して蓄積された膨大な数の写真を使って、
コラージュ風のページを作りました。
演奏中の写真、リハーサル風景、移動のときのスナップ、
遠方での演奏のときについでに寄った観光地の風景など、いろいろです。
「Sachiko」のページで背景になっている写真は、むかし行ったドイツの町並みだそうです。
「ミマス」のページにはむかし乗ったシベリア鉄道の写真も載っています。 |