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山陰本線
(山口県・島根県・鳥取県・兵庫県・京都府/2000年4月30日放送)
日本海沿岸にお住まいの方には大変失礼な偏見なのですが、「日本海」という言葉には独特のイメージがあります。
いろいろな、複雑な要因があると思いますが、
私の周辺でも日本海を見たことのない人々は「暗い」「寒い」「灰色」というイメージを漠然と抱いているようです。
私もそのように思っておりました。
山陰線の列車から実物の日本海を見るまでは。

そこに広がっていた世界は、青く澄んだ海、明るい太陽、
眩しいばかりの白い砂浜、鮮やかな緑、爽やかな風という、予想を180度ひっくり返しても余りあるものでした。
この時の衝撃というものはいまでもはっきり覚えております。
ちなみにこれは19才の夏のひとり旅で、山口線を北上して島根県の益田という町に出て、
出雲方面への各駅停車に乗ったときです。

さて山陰本線は、あの京都と山口県の下関(の一つ手前の幡生駅)を結ぶたいへん長大な路線です。
調べたところによると、京都発の始発列車に乗れば、
各駅停車を11本乗り継いで、終電で下関に着くことができます。
どちらかというと、西側の半分(島根県・山口県)のほうが、
車窓からの海の景色は勝るような気がします。
とくに山口県の北長門海岸は「海のアルプス」と呼ばれます。

それにしても沿線には景勝地が多く、城崎、鳥取砂丘、松江、宍道湖、出雲、萩、そのほかいくらでもあります。
個人的には萩が好きです。幕末の歴史に傾倒する人の憧れの地です。
「松下村塾」とは吉田松蔭が開いた私塾です。
ここから明治維新をリードする人材が大勢でました。
たいそう立派なものだろうと期待しましたが、「え?これなの?」と思わず叫んでしまうような「オンボロ小屋」です。
それが逆に激動の時代の、若い人々の情熱を今に伝えているかのようです。

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