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失われゆく大峡谷「三峡」
三峡(サンシア)は、3つの峡谷からなります。
約120kmもの間、高さ何百mもの垂直な岩壁、巨岩・奇岩の峰々が次々と現われます。

くとう峡(クータンシア)
くとう峡は船下りで最初に現われる峡谷です。
長さ8kmというのは、3つの峡谷のなかではもっとも短く、1時間もかからないで通り抜けます。
しかし、船から見上げると、そそり立つ垂直な岩壁はものすごい迫力で圧巻です。
両岸の岩壁は高さ1000mから1500mもあるそうです。

巫峡(ふきょう/ウーシア)
巫峡は三峡のメインです。もっとも美しく雄大と言われ、長さは45kmです。
通り抜けるには何時間もかかります。
川が曲がりくねっているので、カーブを曲がるたびに新しい景色が展開します。
ずっと上の尖った岩峰には雲がかかり、本当に水墨画の世界です。
僕は、中国という国で水墨画という、黒の濃淡だけで風景を描写する芸術が発達したり、
カスミを食べる仙人というキャラクターが生まれたのはまったく自然なことだと、納得してしまいました。

西陵峡(せいりょうきょう/シーリンシア)
西陵峡は川の中に突然大きな岩があったり、浅瀬がたくさんあったりするので、
古代から危険な場所として知られ、船旅も命懸けだったそうです。

長さは76kmだそうで、3つの渓谷の中では最長です。
僕が乗った船では、西陵峡のほとんどを夜に通ってしまい、朝になってからデッキに出て少しばかり見ました。

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