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しし座流星群

約33年ごとに、夜空を埋め尽くすほどの流れ星のシャワーを降らせるというしし座流星群。
前回の大出現が1966年だったために、
それから33年後にあたる世紀末から新世紀の数年間はたいへん注目されました。

1998年は、日本中で大騒ぎとなったものの、流星のシャワーはヨーロッパに降り、
日本は1時間あたり100個くらいの出現でした。

昨年(2001年)には日本で1時間当り数千個というすさまじい流星雨が出現しましたが、
1998年の騒動で一般の人々は「流れ星のシャワーなんて言うけど、
ポツポツたまに流れるだけじゃないか」というイメージを持ってしまった人が多く、
この2001年の大出現を見た日本人は、天文ファンに限られてしまった、という印象を僕は持っています。

そして今年2002年は、日本では条件が悪く、
ヨーロッパと北アメリカ大陸で流星雨が出現すると予想されていたのです。
さらに、ここ数年の一連のピークは、今年をもって最後となり、
また約30年間、しし座流星群は沈黙すると言われております。

33年後と66年後のピークはとても条件が悪いと言われており、
今年を逃すと、いま生きている人は一生流星のシャワーを見る機械を失うという予想がでていたのです。
そのため、日本からも多くの観測ツアーが最後のチャンスとばかりアメリカ西部や地中海地方に出かけました。

僕達一行は、星好きではありますが、ただ眺めるだけで、
ちゃんとした観測をしたり記録をとったりはしないので、極めて主観的な印象しかかけません。
流れ星がいくつ流れたのか、ピークの時刻はいつだったのか、
など客観的なことがらは天文雑誌を読んでくださいねー。


月光のグランドキャニオン

その夜は、満月でした。満月の煌々たる青い光に照らされたグランドキャニオンは、
それはそれは幻想的で美しさの極みです。

よくガイドブックには、グランドキャニオンの朝陽と夕陽の美しさが紹介され、
観光客もこれを見逃さないわけです。

僕達は今回グランドキャニオンに5泊して、
何度も展望台へ行き、朝焼け夕焼け含めていろいろな表情の大峡谷を見ました。
その中でいちばん美しいと思ったのは、僕は満月に照らされたグランドキャニオンです。

ぜひグランドキャニオンを訪れる予定のある方は、
ちょっとでもいいので月齢(月の形)を意識して欲しいなあと思います。

もちろん、月の無い闇夜のときに訪れて、
恐ろしいまでの満天の星空が印象的だったと語る人もいるので、いつ訪れてもそれぞれの良さがあるのですが、
満月の頃に訪れることになった方は、月光のグランドキャニオンをぜひ見てください。

その場合は治安に気を付けてください。宵のうちなら、遠くの展望台へ夕陽を見に行って、
ホテル村へ帰ってくる車がかなり通るのでそんなに危なくない印象です。


リパン・ポイント展望台

グランドキャニオンには、「なんとかポイント」という展望台がいっぱいあります。

僕達が2002年11月18日の夜から19日の未明にかけて、星を眺めていたのはリパン・ポイントという展望台です。
眼下にグランドキャニオンが広がり、コロラド川も見えます。

大変静かで、かすかに聞こえるのはコロラド川の水音だと、一緒に星を見た現地の女性が教えてくれました。
ここには、僕達と、この女性だけしかいなかったので、なんか、素晴らしい風景を貸し切りにしたような感じがしました。


これが、僕達が流星雨を見た
リパン・ポイント展望台からの眺めです。
この写真は夜、月明かりを頼りに撮影しました。
三脚にカメラを固定して、
40秒ほどシャッターを開けっ放しにして撮りました。
星も少し映ってます。

流れ星が現われない!

夜11時ころ展望台に着き、明け方まで星を眺めるつもりでした。
(流れ星は一般的に、宵のうちより未明のほうが多いのです)

僕は、去年日本でみた流星雨のイメージが強烈に頭に残っていたので、
きっと予想されるピークの時刻以外の時間帯も、
一晩じゅう流れ星がドカンドカンと飛びまくるのだろうなんていう、勝手な思い込みをしておりました。

しかし!いつまでたってもぜんぜん現われないのです!ちょっとは出ました。
少なくとも、毎年8月中旬のペルセウス座流星群や、12月中旬のふたご座流星群のような
「普通の」流星群くらいは流れ星が飛んでいました。数分に1個くらいは流れ星を見ましたが、
しかし1時間に1000個程度という予想に希望を持って見に来ている身としては、
「これは、ハズレだ!」という思いがしました。

Sachikoは、「寒いから車にいるわ。たくさん出たら呼びに来て」と言って寝に行ってしまいました。
そうこうしているうちに、時刻は未明の3時半になり、夜明けも近づいてきました。


そして流星雨になる
3時半過ぎになり、一緒に見ていた地元の女性が「もう、帰る」と言い残し帰ってしまいました。
Sachikoが起きて外に出て来ました。
そしてその直後、急に流れ星が増えてきて、
「あ、いま2つ同時に流れたねえ!」、「今度は3つ同時だ!」と言った瞬間、
あれよあれよという間に流星雨が始まりました。

もう歓喜の渦で、流星の数がどのくらいかの見積もりは自信がありませんが、
経験から言うと、ピークの頃は1分間に30から50個くらいではないかという気がします。
10秒間に20個くらい目撃した瞬間もありました。

しかしこんな状態は長くは続かず、20から30分くらいで終わってしまいました。

昨年日本で見られた流星雨との比較

去年(2001年)に日本で見られた流星雨と比べると、流れ星の数は少なかったです。
僕は、去年の流星雨を見たとき、1時間当りの流星の数を5000個以上と見積もったのですが、
後になって天文雑誌を見たら、たしか2300だったという観測結果が載っていたので、
「えー! そんなに少なかったかなー!?」と思いました。

やっぱり、流星雨を目の当たりにすると半狂乱になりますので、
どうしてもたくさん見たような気がして、多く見積もってしまうのかも、しれません。
釣った魚がどんどんでかくなるようなものです(笑)。

今回、アメリカから帰ってきて、NHKのニュースで
「アリゾナでは1時間あたり700個の流星が見られました。」と言っていましたが、
妥当な感じだなー、と個人的には思っています。

いろんな意味で、僕達が今年アメリカで見た流星雨よりも、昨年日本で見られた流星雨の方が、派手でした。
まず一つ一つの流星の明るさは、今年は平均的に暗いものが多く、
1等星から2等星くらいのものが主流で、
昨年のように眩いばかりの火球がドカンドカンと飛びまくるということはありませんでした。

あと、流星の経路(夜空を流れる距離)も、比較的みじかいものが多かったように感じました。
しかし、今年は満月がでていましたから、その影響で流星が見にくくなっていたことが原因かもしれません。
流れ星が流れた後にしばらく空に残る残像のような光(流星痕という)も
今回はまったくといっていいほど見られませんでした。

そして最大の違いは、流星雨の継続時間が短かったことです。
昨年はもう、夜半から夜明けまで、6時間くらい延々と流れ星のシャワーが続いたような印象ですが、
今年のアメリカ西部のものは、数十分で終わってしまいました。ピークがはっきりしていた、ということだと思います。


感想
ミマス 生涯に2回も流星雨を見られたことは、本当に幸せなことだと思います。
グランドキャニオンという、素晴らしいロケーションで、
地球と、宇宙と語り合うかのように、静かな場所で見たことも最高の体験だと思います。

ところで、今年は「満月だから条件は最悪だ」と言われていました。
意外に思う人も多いと思いますが、天文ファンは、しばしば月を邪魔者扱いします(笑)。
月が出ているときは、夜空が明るくなって星がかき消されてしまうので、
星の写真も撮りませんし、
流星群の日が満月だと分かると、「あーあ。最悪だ。」などと、僕も言います。

でも今回は、本当に満月で良かった。
満月に照らされたグランドキャニオン、そこに降り注ぐたくさんの流れ星。
これは僕がこれまで見た最高の光景の一つです。一生忘れません。

Sachiko

本当に景色がきれいでした。
月光に照らされたグランドキャニオン、
静かな世界にかすかに聞こえるコロラド川の流れ。そして流れ星。
かなり寒かったけど、言葉にならない程の素晴らしさでした。

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