DALY WATERS |
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これは、オーストラリア大陸の真ん中を南北に縦断するスチュアート・ハイウエイ沿いにある
デイリー・ウオーターズという所です。
地図には、まるでそこに町があるかのように描かれていますが、
実際に行ってみるとガソリンスタンドと、小さな酒場と、簡素な宿が一つになった『ロードハウス』という建物が一軒、 荒野にポツンとたっているだけです。
『アウトバック』と呼ばれるオーストラリア大陸の辺境では、これはごく普通の光景で、
人の気配の全くない単調な砂漠の一本道を旅する人たちにとっては、
100kmごとくらいに道端に現われるこうしたロードハウスが、まさにオアシスなのです。
カカドゥ国立公園を出発した僕たちは、スチュアート・ハイウエイをひたすら南下しましたが、
だんだん日が傾いてきたので、デイリーウオーターズという所で宿を取ることにしました。
標識にしたがってハイウエイを曲がると、このレトロなガソリンスタンドと、一軒のパブが現われました。 |
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これがデイリーウオーターズ・パブです。 |
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パブに着いたら明るいうちからビールを飲みます。 |
オーストラリアの旅では、『パブ』はたいへん重要です。
パブは単なる酒場ではなく、旅人にとっては宿泊施設であり、腹ごしらえをして、
たまたま居合わせた人たちと語り合う交流の場でもあります。
僕は半年前に一人で西オーストラリア州を周ったときに、何回かパブに泊まってオーストラリアという国の文化や、
楽しさや素晴らしさを知るにはパブに泊まるのが一番だという感想を持っていたので、
今回もこうしてパブに泊まることになって、嬉しくなりました。
パブに泊まる時は、いわゆるフロントというものは無いので、酒場のカウンターでヨッパライを相手にしている店のお姉さんに、
『すいません、部屋あいてます?』と聞きます。たいてい、空き部屋はあります。
ここでは、48ドル(3900円)の部屋が空いてるというので、そこに泊まらせてもらいました。
部屋はとても質素でしたが、清潔でこぎれいな感じです。トイレやシャワーは他の宿泊客と共同でした。 部屋の窓のすぐ外はパブの中庭で、飲んでいる人たちの話し声がダイレクトに聞こえました。 |
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晩ご飯はハンバーガーをたのんで 満天の星空を眺めながら食べました。 ハンバーガーは厚さ15cmくらいあります。 ものすごくオイシイです。
ポテトも山盛りです。 グレイビー・ソースがかかっていて これが信じられないくらいウマイです。 |
ガイドブックに
『オーストラリアのパブでは、孤独を貫くのは難しい』と書いてあるように、パブではいろんな人が話し掛けてきます。
僕が寝る前に一人で座ってビールを飲んでいましたら、さっそく隣で盛り上がっていた5〜6人のグループが 『おーい、こっちへ来いよお!』と声をかけてくれたので、そっちへ行くと
『僕はパイチだ、彼女はケティーだ、僕はウエスタン州から来たが、彼女はビクトリア州から来たんだ』、と 早口でどんどん自己紹介を始めました。
『お前さんは一人旅か?』と聞くので、『いいや、連れがいるけど、いま部屋にいる』と言うと、
『なんだよ、じゃあ、連れて来いよ!』と言うのでサチコ嬢を呼びに行きました。
サチコネエサンは乗り気じゃない感じでしたが、『まあ、パブって、こんなもんだから。』と言って連れて行きました。
僕はオーストラリアという国がとても好きです。
その理由は、素晴らしい大自然と、ユニークな野生動物と、南十字星と、
日本よりも安全ではないかと思われる治安の良さの他にもオーストラリアの人達の、
聞いてもいないのに自己紹介を始め、
頼んでもいないのに親切をしてくれるという大らかで、フレンドリーで、ジェントルな性質があります。
オーストラリアの人たちは、誰に対しても『MATE(マイト)』と呼びかけます。 初めて会った人でも、友達なのです。
僕が、『みんなはグループで旅行してるの?』と聞いたら、『ぜんぜん知らないよ、さっきここで会ったんだよ。』と言ってました。 このあたりは、この国の愛すべきところです。
次の日は夜明けに出発しないといけないのに、この人たちとは、結局遅くまで話してしまいました。
ケティーさんが、『日本って、パンダがいる国でしょ。』というので、
サチコ嬢が『それはたぶん中国のことだと思う。ねえ、中国と韓国と日本の区別つく?』と聞いたら
『ぜんぜん分っからなーい!!』と言っていたのが印象的でした。
パブでは、『シャウト』と言って、初対面の人どうしでも順番にビールをおごり合うしきたりがあるのだ。と、 本で読んだことがあったのですが、
パイチさんが僕たちにビールを買ってきてくれたので、僕も彼らにビールをごちそうしました。
なんか自分もこの国に馴染めたような気がしました。 |