TOP > JOURNEY > アクマリ旅行記 > オーストラリア旅行記2005 > マクドネル山脈
MACDONNELL RANGE
この写真は、アリススプリングスの郊外にある『西マクドネル山脈国立公園』です。
平らな稜線と、きれいに一定の間隔で刻まれているヒダがとても特徴的で、印象的な風景を作っています。

オーストラリア大陸の中央にあるマクドネル山脈は、しばしば『地球上で最も古い山脈の一つ』と言われます。
生き物や、夜空の星にさえも、若いものと年老いたものがあるように、地球上の山脈や川にも、
つい最近できたものから、何億年という年齢を重ねてきたものまで、いろいろあるのです。

富士山やアルプスのような山々は、非常に若いので、高くてカッコイイ姿をしていますが、
古い山脈というのは、こうした地味ーな感じです。

マクドネル山脈は、きっと昔は高くて鋭い姿を誇っていたはずですが、
何億年もの間ずっと風雨にさらされていたので侵食されて低くなり、
いまでは骨組みのような硬い地層だけがかろうじて、低い稜線として残っています。

僕が、地形学や地質学というものを大学で勉強していちばん良かったと思うのは、
一つの風景を見たときに大昔はどんな姿だったのか、
そしてこれからどんな姿に変わってゆくのかがイメージできるようになったことです。
地質学者とは、石ころを集めてコレクションを満足げに眺めている人々ではなく、
地球の身の上話を理解する言語を身につけた人たちのことです。

そんなカタイ話はどうでもいいのですが、
僕たちはアリススプリングスから西へ100kmほど走って、西マクドネル山脈国立公園へでかけました。

夕陽に染まるマクドネルの岩山は
ほんとうに美しいです。

これは、シンプソン・ギャップという峡谷です。

マクドネル山脈には、
『ギャップ』とか『ゴージ』と呼ばれる
山脈を横切る川が刻んだ深い峡谷が
何か所もあります。

これは、『スタンドレー・キャズム』という峡谷です。

アリスから西へ向う舗装道路の終点には
展望台があって
『ソンダー山』を遠くに望むことができます。

この山は、
ナマジラさんというアボリジニの芸術家(故人)が
好んで描いた山だそうです。

ナマジラさんの水彩画は、
ダーウインの博物館にいくつか展示されていて
ハッと息が止まるくらい素晴らしかったです。
ところで、この下の写真は、僕がとても気に入っている一枚です。
なにげない景色ですが、地球上できわめて重要な場所です。
フィンク川という川が、マクドネル山脈を横切って流れ、『グレンヘレン・ゴージ』という峡谷を作っていました。

近くの展望台の説明看板には

『このフィンク川は地球上で最も古い川の一つです』
と書いてありました。

そばにいたオバサンはそれを読んで
『なんでそんなことが分かるんだ』、と
独りごとを言っていましたが、
僕には、この一文の意味がすぐ分かりました。
この小さなせせらぎは、やはり『地球で最も古い川』の一つです。

川が、山脈を横切って流れているということは、山脈が隆起を始める以前から、ここを流れていたと言うことができるのです。

もしも、山脈が隆起した後に川ができたとしたら、水は高いほうには流れることができないので
その川は、必ず山脈を迂回するコースを流れ、決して山脈を横切ることはできないからです。
だから、「フィンク川は、『地球で最も古い山脈の一つであるマクドネル山脈』よりも古い」、
ということが、言えてしまう訳です。(ややこしい話だ)

こういうことは、たぶん99%くらいの人にとっては、『へえ、それで?』という感じだと思いますが、
僕はこのフィンク川には、エアーズロックと同じくらい感激しました。

←前のページ | 次のページ→
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
オーストラリア旅行記2005