TOP > JOURNEY > アクマリ旅行記 > 西アメリカ旅行記 > ホワイトサンズ国定公園
WHITE SANDS
ホワイトサンズは、僕が今回の旅行でいちばん楽しみにしていたところです。
と、いうよりも、ここに行きたいという想いから今回の旅行を計画したという感じです。
この一年、ライブでピアノを弾いているときも、ラジオで星座の解説をしているときも、
どうしたらホワイトサンズに行けるかということがいつも頭から離れませんでした(そうだったんですよ)。

実際に訪れることができて、ほんとうに幸せな気持ちでいっぱいです。

ここは、その名の通り、純白の砂漠です。
「ジプサム」という鉱物の粒子があつまって、この信じがたい奇跡の風景を作り出しています。
僕は、ここは間違いなく地球上で最も美しい場所のひとつだと思います。

この「白い砂漠」について知ったのは、本で美しい写真を見たのがきっかけです。
その時は、「この地球上に本当にこんな美しいところがあるんだろうか。」と思いました。
しかし、実際に行ってみると、むかし見た写真など問題にならないほど広くて大きくて、美しい場所でした。
これはほんとうにすごいです。

ホワイトサンズ国定公園は、ニューメキシコ州の南部に位置していて、
いわゆるグランド・サークルと呼ばれる著名な国立公園が集中しているエリアからは、かなり離れています。
アーチーズからは2日がかりのドライブでやっとたどり着きました(だいぶ寄り道しましたが)。

真っ白な砂丘に青い空。
これは雪でも白砂のビーチでもなく、
大陸の真ん中にある砂漠の風景なのです。
ホワイトサンズ国定公園は、入口のゲートのところにビジターセンターがあります。
そこから公園の奥へと片道10kmほどの道路が続いていますが、
この道路は途中からもう砂で真っ白になって、タイヤを通して不思議な感触が伝わってきます。
駐車場も真っ白で、雪の中にいるみたいな気分になってきます。

いちばん奥の駐車場から、砂丘を歩く「アルカリ・フラット・トレイル」という遊歩道があって、僕達はここを歩くことにしました。
これはたいへんキツイ遊歩道でした。
僕達は午前10時半に歩き始めて、一周して戻ってきたのは午後2時半でしたので、4時間もかかってしまいました。
砂丘はそばまでゆくと山のようで、砂に足をとられながら数え切れない砂丘を登り、下りました。

日差しもキツくて、一生懸命歩いていると、11月下旬だというのに暑くて仕方ありませんでした。
とにかく眩しくて、僕はこんな眩しい思いをこれまでしたことがありませんでした。
デジカメの液晶画面が、いっしょうけんめい自分の体で日陰を作っても、ぜんぜん見えなくて、
写真が撮れているんだか撮れていないんだかサッパリ分かりませんでした。

しかし僕は、ずっと憧れていた純白の砂漠の上を自分が歩いているのを実感して、幸せな気分でした。

砂丘のところどころに、植物に覆われた小山があり、
サチコ嬢が、「あそこまで行って写真を撮ってくる」といって
行ってしまいました。

無尽蔵にある風紋。

トレイル(遊歩道)といっても、
一定の間隔でこのオレンジ色の印が
砂に刺してあるだけです。
これを見失ったら本当にたいへんなことになります。
歩いているうちに、雲が上空を覆ってきました。
それまですごく眩しくて目がやられていたので、曇って薄暗くなってくると、不思議な感覚に陥りました。
この、世界全部が薄くなって消えてゆくような感覚は、むかし皆既日食を体験したときとそっくりだと思いました。

皆既日食のときに、太陽が三日月のように細くなり消えてゆくとき、
昼間なのにあたりは暗くなって、まるで世界が消えてゆくような不思議な感覚になるのです。
暗くなる、というよりも、世界ぜんぶが薄くなって消えてゆく感じです。

白い砂丘に降り注ぐ太陽、それを遮る雲がおりなす光のショーも、その場に行かなければ体験できないことだったと思います。

トレイルを歩いたらけっこう疲れましたが、どうしても白い砂丘の夕暮れを見たかったので、
何時間かビジターセンターの展示を見たり、ギフトショップを物色したりして、夕方また砂丘に戻ってきました。
白い地平線の夕景は、それはそれは素晴らしいものでした。
僕たちは雲の上に座っていて、雲海の上にいるような気分になりました。

←前のページ | 次のページ→
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
西アメリカ旅行記