TOP > ミマスの部屋 > ASIAN COSMOS > エリダヌス座
エリダヌス座は動物園と植物園
天苑(てんえん)、天園(てんえん)、九州殊口(きゅうしゅうしゅこう)
冬の有名なオリオン座の右下の方には、おもしろい星の並びがあります。
くらい星がたくさん、クネクネしながら長く続いています。

街の中ではほとんど星が見えないのですが、
山奥などのきれいな空で見ると星がたっくさん見えて、ウネウネつづく星の列がわかるでしょう。

西洋では、ここは「エリダヌス座」という星座になっています。
エリダヌスとは川の名前です。これは、川の星座なのです。
夜空でも、とても長い川のように見えます。

世界地図をいくら探しても、エリダヌスなんていう名前の川は見つかりません。
エリダヌスというのは、イタリアのポー川のことだとか、エジプトのナイル川のことだとか言われています。

言い伝えでは、この川の川原には、「琥珀(こはく)」という宝石がたくさんころがっているそうです。
エリダヌス座は、冬の代表的な星座であるオリオン座のすぐ隣から始まって、
下へ下へと流れくだって、ついには南の地平線までとどきます。

ぼくが住んでいるのは、神奈川県の「茅ヶ崎」という、海辺の町です。
ぼくの家から砂浜までは、歩いて5分ですので、よく海に星を見に行きます。
すると、このエリダヌス川は、まるで夜空から流れてきて、本当に海に注いでいるように、見えるのです。
それはそれは、すばらしい眺めです。

ところで、エリダヌス川の河口には、「アケルナル」という、たいへん明るい青っぽい1等星があるのです。
「川の果て」という意味の名前です。

しかし、この星は、ギリギリでぼくの町から見えないのです。
日本では、沖縄のような南の島まで行かないと見えません。
でも、ぼくは、沖縄の「波照間島」という島に旅行したときに、アケルナルを見ました。
11月でしたが、波照間島は海水浴ができるほど、暑いのです。

さとうきび畑の向こうに、この星がのぼってきたときは、本当に、感激しました。
たいへんすばらしい眺めだったので、ぼくはこのときの星空を「はてるまの星」という歌にしました。

そうして帰ってきてから、自分で歌って、ぼくが地元でやっているラジオ番組で放送したのですが、評判は、いまいちでした。
でも、ふるかわさんという人が気に入ってくれて、ぜひCDに入れろと言っています。

それから、タイランドという南の国に旅行にいったときにも見ました。
その時は10月でした。夜行列車の窓から見えたのですが、その時も、感動しました。

さてさて、かんじんの中国では、この星の列は「天苑(てんえん)」
「天園(てんえん)」「九州殊口(きゅうしゅうしゅこう)」という3つの星座に分かれます。
まず、「天苑」とは天にある動物園のことで、「天園」とは植物園のことだそうです。
読み方は、りょうほうとも「てんえん」です。

これは、皇帝という中国の支配者がもっていた、
広い広い公園のようなものが星座になっているのだといわれます。
天園のほうは、ただの線みたいですけど、
天苑のほうは、ちょうどエリダヌス川のカーブしたところにあたっていて、まるく囲まれた庭のように見えますね。

「九州殊口」というのはむずかしい名前ですか、
これはいろいろな国の言葉を話す「通訳」という仕事をする人のことなのだそうです。

「九州」というのは日本の南の方にある九州のことではなくて、「たくさんの国」という意味です。
「殊口」とは、「ちがう言葉」という意味です。
ですから、九州殊口とは、「たくさんの国のいろいろな言葉を話せる人」という意味になるのです。

中国はたいへん大きな国ですから、まわりにいろいろな国があって、その言葉を翻訳する人が必要だったのです。

← 前のページ | 次のページ →
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16
ASIAN COSMOS