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おおいぬ座
天狼(てんろう)、野鶏(やけい)、軍市(ぐんし)、弧矢(こし)
おおいぬ座は、有名な冬の星座です。
なぜ有名かというと、犬の鼻のところに光っている「シリウス」という星は、
たくさんの星の中でいちばん明るい、星の王様だからなのです。

シリウスは本当に明るいです。
寒い寒い冬の夜、南の空に青白くギラギラと輝く姿は、本当に印象的です。
「シリウス」という名前の意味は、「焼きこがすもの」だそうです。
シリウスは、中国では「天狼(てんろう)」と呼ばれました。
つまり、天のオオカミの星です。これは、本当にカッコイイ名前です。
風の強い夜には、この星はギラギラまたたいて、まさにオオカミの目のような感じがします。

おおいぬ座の星たちは、下の図のように、中国ではいくつかの星座に分かれます。
シリウスは、星一つで「天狼」という星座です。
問題は、その他の星たちです。

おおいぬの前足の星が「野鶏(やけい)」という星座です。
これは「キジ」という鳥のことだそうです。
その「野鶏」を囲むように、たくさんの星が、まるーく並んでいます。
これがモンダイなのです!
この丸く並んだ星たちは、「軍市(ぐんし)」という星座になっているのです。
ところが、じっさいの夜空には、こんなところに星はないように思えるのです!

ためしに、こんど星のよく見える夜に、シリウスの右の方を見てください。
こんなところに、こんな星たちは一つも見えません。
そこで、ぼくの知り合いの人たちは、「中国の人たちは、きっと星座をデッチあげたのだ」なんて言っていましたし、
ぼくも、さいしょはそんな感じがしたのです。

でも、ぼくはある日、プラネタリウムを見に行って、シリウスのあたりをなんとなく眺めていたところ、
この星座は、本当にあるのだと信じるようになりました。

ものすごく、かすかな星たちで、人間の目で見えるか見えないか、
ギリギリですけれども、ここに、こういう星たちが、ゼッタイにあります!
ぼくは、これを見つけたときに、感動のあまり涙をはらはらと流してしまいました。
そして、中国の4000年の歴史を、改めて尊敬するようになりました。

さて、この「軍市」という丸い星座は、市場をあらわしています。
市場の中にキジという鳥がいて、それをオオカミが外からねらっているのです。
このままだと、キジはオオカミに食べられてしまいます。

でも、心配はいりません。そのオオカミを、弓矢がねらっているのです。
もしオオカミがキジに飛びかかろうとしたら、矢がオオカミにむかって放たれることになってるらしいです。

この弓矢の星座は「弧矢(こし)」といいます。
じつは、この弓矢の星座の結び方は、ぼくが勝手に考えて図に書いたもので、合っているかどうかは分かりません。
たぶん、違っていると思います。

中国の星座の結び方は、じつは、よく分かっていなくて、いろいろな人の、いろいろな考え方が、あるのです。
明るい星ばかりを結んだ、分かりやすい星座については、
どの本を見ても同じように書いてあるのですが、人によって、結ぶ星が全然違うことも、あるのです。

このページの図の星の結び方は、本を参考にしたのですが、この「軍市」と「弧矢」の結び方についてだけは、
ぼくが信じる星を結んでしまっています。

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