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はじめに
これからお話しするのは、中国や朝鮮地方、
そして私達の住む日本など東アジアの国々で2000年近く伝えられてきた、「もうひとつの星座の世界」のお話です。

あなたは星座というものを知っていますね。
詳しいことは知らなくても、星座の名前をたくさん知らなくても、
「さそり座」や「ふた ご座」などという言葉をきいたことがあると思います。

「オリオン座」「カシオペヤ座」「はくちょう座」なんていう星座を知っていて、星の並びを思い浮かべることができる人もいるでしょう。

これらの星座は、アラビアで生まれ、ギリシアで育ち、西洋の国々に広められた 星座たちです。
私達の日本では、いまから百数十年前に西洋の進んだ科学や世の中の仕組みをどんどん取り入れた時代があって、
ここでこれからお話するような星座たちは忘れ去られ、
いま私達が知っているような西洋の星座がもてはやされるように なったのです。

星座とは、なにか?
世の中の多くの人は、「天文学」という学問は、星座がないと成りたたないと思って います。
また、天文学者という人たちは星座の研究をしているのかな、と思っている 人もいます。

ところが、おどろくべきことに、星座と天文学は、けっこう別モノなのです。
星座が 無くても、天文学の研究はできますし、星座をほとんど知らなくても、天文学の研究 をすることもできるのです。

これは、ぼくの考え方であって、他の人達に賛成してもらえるかどうか分からないのですが、星座とは、芸術なのです。

星座とは、昔の人達が星と星を結んで夜空というキャンバスに描いた「絵画」のこと なのです。
夜空というのは、毎晩ひらかれる星座という絵の展覧会なのです。
その展 覧会のチケットは、あなたの心の中にある、想像する力、空想する力なのです。

ですから、あなたも空想をよくはたらかせて、星たちを結んで自分だけのかっこいい 絵を描いてみてください。
自分だけの星座を作って、いいのができたらぜひ僕に教えてください。

中国星座の特徴
あなたは、中国の星座ときいて、どんなものがあると想像しましたか?
「パンダの 星座はあるかな?」とか、「ササの葉っぱの形の星座はあるかな?」とか、
「ギョーザや、自転車ゃも星座になっているかもしれないぞ」と思ったでしょうか。

中国の星座は、意味が分かりにくいものが多い
じつは、残念なことに、中国の星座には、西洋の星座のような動物や、
お姫様や、ヒーローの形をあらわす星座はほとんどないのです。
皇帝(こうてい=中国の王様のこと)の住んでいる「おやしき」や、別荘、けらいや、お役人、戦争に使う武器や旗、
というようなのもが空に並んでいます。

多くの人が知っている西洋の星座には、
神様やお姫様のロマンチックな恋の物語や、ヒーローたちのわくわくするような冒険のお話が
「神話」というかたちで伝わっていますが、中国の星座には、そういうおもしろいお話があまりないのです。

ただ夜空に、意味のよくわからない漢字の名前がついた、よく分からない星座が ならんでいるだけなのです。
ですから、西洋の星座は88個全部知っている、という 人でも、中国の星座はほとんど知らないことが多いのです。

僕がこのページを作ったのは、
あなたに中国の星座に親しんでもらって、夜空を見上げたときに、ひとつの見方ではなく、
いろいろな見方をしてもらいたいと思っ たからです。
ですから、あなたが、「中国の星座ってつまらなそうだなあ」と思うと困るので、
最初に、中国の星座にふれるさいの心がまえというか、
西洋の星座とどこが違うのかをお話したいと思います。

中国の星座は、細かくて、数が多い
まず、中国の星座は、数がとても多いということです。
長い長い歴史の中で、少し 増えたり減ったりしましたが、全部で300個ちかい星座があります。西洋の星座は88 個です。

夜空の星の数は同じなのに、細かくたくさん星座を作ってしまったということは、ひとつの星座がとても小さくなってしまいます。

おどろくべきことに、中国の星座には、たった一つの星で一つの星座、というものが あるのです。
さらに、星を2つ結んで線を作って、それが星座になってしまう、というものも、じつにたくさんあるのです。
これには僕もほんとうにおどろきました。

中国の星座は、夜空でたどるのがとても難しい
それに、中国の星座では、星の明るさというものをほとんど無視しているような感じがします。
明るい星がなんの星座にも入っていなかったり、目に見えないよう な暗い星をたくさん結んで星座を作ったり、
そういうことを平気でやってしまいます。

こんなことでは、たいくつすぎて、どれも同じに見えてきて、
こんなのが300近くも あるとなれば、「もういいや」となってしまいそうです。
でも、このページでは、わりと大きくて、形が分かりやすくて、楽しい星座、 覚えやすい星座をご紹介しようと思っています。

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